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「防災グッズ、そろえなきゃとは思っているんだけど……」
そう思いながら、気づけば数年経っていませんか。ネットで「防災グッズ リスト」と検索すると、100個近い項目がずらりと並んでいて、見た瞬間にそっと閉じる。あの気持ち、よくわかります。
でも、防災グッズが難しく感じるのは、全部を一度に、一つの袋に詰めようとしているからです。使う場面ごとに分けてしまえば、必要なものはぐっと絞り込めます。
この記事では、
- 防災グッズを「3つの場面」で分けて考える方法
- それぞれに入れるものリスト
- 水と食料は実際どれくらい必要か
- 置き場所の考え方
- 予算が限られているときに、まず買うべき5つ
- 見直しのタイミング
をまとめました。9月1日は「防災の日」。この機会に、完璧じゃなくていいので一歩だけ進めておくと安心です。
防災グッズは「3つの場面」に分けると迷わない
リストが長くて挫折する最大の原因は、全部を1つの袋に入れようとすることです。
防災グッズは、使う場面が3つに分かれます。ここを分けるだけで、一気に整理しやすくなります。
| 区分 | いつ使う | 置き場所 | 量の目安 |
|---|---|---|---|
| 0次 | 外出中に被災したとき | 毎日のカバン | ポーチ1つ分 |
| 1次 | 家から急いで逃げるとき | 玄関・寝室 | 持って走れる重さ |
| 2次 | 自宅で数日過ごすとき | 押入れ・キッチンなど | 最低3日〜1週間分 |

大事なのは、0次と1次は削る、2次は積むという考え方です。持って動くものは軽さが命、家に置くものは重くても構いません。
0次|毎日持ち歩くもの
通勤中や買い物中に被災する可能性もあります。とはいえ大げさなものは不要です。
- モバイルバッテリーと充電ケーブル
- 500mlの水
- 少量のお菓子(ようかん、ナッツなど)
- 小さめのライト(キーホルダー型で十分)
- 常備薬、絆創膏
- 現金(小銭を多めに)
- ホイッスル
普段のポーチに足すだけなので、いちばん今日から始めやすい部分です。
1次|すぐに逃げるための持ち出し袋
命を守って避難所へ向かうための袋です。ここで大事なのは「軽いこと」。
持ち出し袋の重さは、大阪府などの自治体が男性で15kg、女性で10kg程度を目安として示しています。
ただしこれは平らな道を歩く前提の数字です。実際は暗がりや段差、瓦礫の上を進むことになります。大阪府自身も「あくまで目安」と断ったうえで、自分で運べる量にとどめるよう呼びかけています。この半分くらいを狙うほうが現実的です。
- 飲料水(500ml×2〜3本)
- 食料(1日分程度。加熱なしで食べられるもの)
- ライト、携帯ラジオ
- モバイルバッテリー
- 携帯トイレ(数回分)
- 救急セット、常備薬、お薬手帳のコピー
- ウェットティッシュ、除菌シート
- 大判のゴミ袋(防寒・敷物・雨具にもなります)
- タオル、下着と靴下の替え
- 軍手、マスク
- 保険証・免許証のコピー、現金
- レインコート(両手が空くので傘より優先)
ひとつずつ買いそろえるのが大変なら、セットになっているものを土台にして、足りないものだけ足す方法があります。防災士が中身を選んだセットは、リストの抜けを埋めるという意味では効率がいいです。
ただし、セットを買っても中身は一度出して確認しておくと安心です。常備薬や、家族の人数に合わせた枚数など、セットでは補えない部分が必ず残ります。
2次|自宅で過ごすための備蓄(在宅避難)
実は、こちらのほうが出番が多いかもしれません。自宅が無事なら避難所には行かず、自宅で過ごす「在宅避難」が基本になるためです。
慣れない集団生活は、それ自体が心身の負担になります。家にいられるなら、家にいるほうがいい。そのための備えがこの2次です。
- 飲料水(必要量は後述)
- 食料(3日〜1週間分)
- カセットコンロとカセットボンベ
- 簡易トイレ・凝固剤(まとまった数)
- 大きめのポリタンク(給水を受けに行くため)
- ラップ、アルミホイル、紙皿、割り箸(食器を洗わずに済ませる)
- ウェットタオル、ドライシャンプー
- 乾電池(サイズを確認して)
- 寝袋または毛布
持ち出す前提ではないので、重くてもかさばっても構いません。
2次の備蓄は「しまい込むと存在を忘れる」のが一番の落とし穴です。最近は、普段の暮らしで使いながら災害時にも役立つように設計された「フェーズフリー」という考え方の防災用品も出てきています。押し入れの奥ではなく、日常の動線に置いておけるものを選ぶと、点検し忘れが減ります。
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水と食料は、実際どれくらい必要?
いちばんよく聞かれるところなので、数字で整理します。
水は「1人1日3リットル」が基準
飲料用・調理用として、1人1日あたり3リットル。農林水産省の家庭備蓄ポータルが示している目安です。
期間はまず3日分、目標は1週間分。これも同ポータルの示し方に沿っています。大規模災害ではライフラインの復旧に1週間以上かかる可能性があるためです。
| 世帯人数 | 3日分 | 1週間分 |
|---|---|---|
| 1人 | 9L(2L×5本) | 21L(2L×11本) |
| 2人 | 18L(2L×9本) | 42L(3.5ケース) |
| 3人 | 27L(2L×14本) | 63L(約5ケース) |
| 4人 | 36L(3ケース) | 84L(7ケース) |
「7ケースも置く場所がない」と思いますよね。これは後述の分散収納で解決します。
なお、これとは別にトイレや手洗いに使う生活用水も必要になります。農林水産省も「湯せん、食品や食器を洗ったりする水は別途必要」と注意を促しています。
どれくらい違うのか。東京都水道局によると、家庭で1人が1日に使う水は平均221リットル(令和3年度)。飲み水の3Lとは桁が違います。
もちろん災害時に221L使うわけではありませんが、生活用水は備蓄しきれる量ではないことは伝わると思います。だからこそ、お風呂の残り湯をためておく習慣で代替するのが現実的です。
食料は「加熱なしで食べられるもの」から
非常食というと乾パンのイメージがあるかもしれませんが、食べ慣れないものは、非常時ほど喉を通りません。
選ぶ基準はシンプルに3つ。
- 加熱しなくても食べられる(停電・ガス停止を想定)
- 普段から食べているもの
- 食器がなくても食べられる
具体的には、レトルトごはん、パックのおかゆ、缶詰、シリアル、ロングライフ牛乳、栄養補助バー、好きなお菓子、インスタントの汁物など。
主食を長く置いておきたいなら、アルファ化米という選択肢もあります。乾燥させたごはんに水またはお湯を注いで戻すタイプで、停電中でも水さえあれば主食が用意できます。レトルトごはんより保存期間が長いものが多く、軽いので1次の持ち出し袋にも入れられます。
味やアレルギー対応は商品によって差があります。まとめ買いの前に少量で一度食べてみて、家族の口に合うかどうかを確認しておくと安心です。
食料の備蓄は、日常的に食べながら買い足していく「ローリングストック」が、農林水産省でもすすめられている方法です。詳しくは別記事にまとめています。
見落とされがちなトイレの問題
断水すると、水洗トイレは使えなくなります。そしてトイレは我慢できません。
東京都は「1日5個×3日分×家族の人数」を最低限の備蓄目安として示しています。つまり1人なら15回分、2人暮らしなら30回分、4人家族なら60回分。都はさらに1週間分の備蓄をすすめています。
「多すぎる」と感じるかもしれませんが、ここは削れない部分です。
水や食料は給水所や支援物資でなんとかなる可能性がありますが、トイレは自力で解決するしかありません。優先度は水と同じくらい高いと考えておくほうが安全です。
置き場所は「1か所にまとめない」
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分かもしれません。
防災グッズを押入れの奥に全部まとめてしまうと、その部屋に入れなくなった瞬間、すべて使えなくなります。
基本は分散収納です。
| 場所 | 置くもの |
|---|---|
| 玄関 | 1次持ち出し袋、靴 |
| 寝室 | ライト、靴または底の厚いスリッパ、笛、ヘルメット |
| キッチン | 水、食料(ローリングストック分) |
| 押入れ・クローゼット | 2次用の備蓄、日用品のストック |
| 車のトランク | 水、簡易トイレ、毛布 |
| 勤務先のロッカー | スニーカー、水、簡易食 |
とくに忘れたくないのが寝室の枕元です。夜間に被災した場合、ガラスの破片が散乱した床を裸足で歩くことになります。靴、あるいは底の厚いスリッパを枕元に置くだけで、けがのリスクが大きく下がります。
水の置き場所についても、「1週間分をまとめて置く」のではなく、キッチンに2ケース、押入れに2ケース、車に1ケース……と分ければ、収納のハードルはぐっと下がります。
予算が限られているとき、まず買うべき5つ
全部そろえようとすると数万円かかります。でも、優先順位はあります。
まずこの5つから。
- 水(3日分。まずはここ)
- 携帯トイレ(代替手段がありません)
- ライト(スマホのライトはバッテリーを消耗します)
- モバイルバッテリー(情報と連絡の生命線)
- 枕元に置く靴(すでに持っているもので構いません)
この5つがあれば、最低限の「いま」は乗り切れます。残りは次のセールのときに、少しずつで大丈夫です。
なお、東京都が公開している東京備蓄ナビを使うと、世帯構成(人数・年齢・性別・ペットの有無)を入力するだけで、その家庭に必要な備蓄品目と数量が自動で出てきます。何をどれだけ買えばいいか迷ったら、まずここで自分の家の必要量を出してみるのがおすすめです。
試しに「大人2人(男女)・集合住宅・ペットなし」で入力すると、7日分としてこう出ました。
| 品目 | 必要量 |
|---|---|
| 水 | 42L |
| レトルトご飯 | 42食 |
| レトルト食品 | 14個 |
| 缶詰 | 14缶 |
| カセットコンロ | 1台 |
| カセットボンベ | 1日4/3本(7日で約9本) |
| 携帯トイレ | 70回分 |
| トイレットペーパー | 5ロール |
| 除菌ウェットティッシュ | 140枚 |
| LEDランタン | 3台以上 |
水の42Lは「2人×7日×3L」、携帯トイレの70回分は「2人×7日×5回」。この記事の前半で書いた1日3リットル・1日5回という目安が、そのまま計算に使われているのがわかります。
数字で見ると、2Lペットボトルが21本。棚1段では収まりません。この「思ったより多い」を先に知っておくと、置き場所から逆算して買えます。
半年に1回、見直す日を決めておく
防災グッズは、そろえて終わりではありません。
- 食品や水の賞味期限
- 乾電池の液漏れ
- モバイルバッテリーの残量(自然放電します)
- 服や靴のサイズ、季節
- 常備薬の使用期限
おすすめは、「防災の日(9月1日)」と「3月11日前後」の年2回に決めてしまうことです。ちょうど半年ごとなので、リズムが作りやすくなります。カレンダーやスマホのリマインダーに、いま登録してしまうのが確実です。
まとめ
長くなったので、要点だけもう一度。
- 防災グッズは0次・1次・2次に分けると整理しやすい
- 1次持ち出し袋は軽さが最優先。男性15kg・女性10kgが目安、狙うのはその半分
- 在宅避難が基本。2次の備蓄はかさばっても構わない
- 水は1人1日3L、まず3日・目標は1週間分
- 食料は加熱なしで食べられて、食べ慣れたものを
- 携帯トイレは水と同じくらい優先度が高い。1人1日5回で計算
- 置き場所は分散。とくに寝室の枕元に靴を
- 予算が限られるなら水・携帯トイレ・ライト・バッテリー・枕元の靴から
- 半年に1回、期限とサイズをチェックする
完璧を目指すと動けなくなります。今日はまず、水を1ケース注文するだけでも十分な前進です。
小さいお子さんがいるご家庭は、これに加えて年齢別の備えが必要になります。おむつのサイズや離乳食の月齢は半年で変わるため、大人だけの備えとは考え方が変わる部分です。そちらは別記事にまとめました。
食料の備蓄については、無理なく続けられる「ローリングストック」の方法も別記事でまとめています。あわせてどうぞ。
なお、備蓄を置く場所がない、床にものが多くて避難経路がふさがっている、という場合は、備える前に片づけのほうが先かもしれません。床にものがない部屋は、それだけで揺れたあとに動きやすい部屋です。
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参考にした情報
- 農林水産省「家庭備蓄ポータル」(水の量、備蓄日数、ローリングストック)
- 農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」(生活用水は別途必要)
- 東京都「もしもの時に困らないトイレの備蓄」(携帯トイレの必要数)
- 大阪府「備蓄品や非常持ち出し品などの準備」(持ち出し袋の重さ)
- 東京都水道局「もっと知りたい「水道」のこと」(家庭の1日使用量)
- 東京都「東京備蓄ナビ」
※数値はいずれも公的機関が示す「目安」です。必要量は家族構成や住まいの状況で変わります。保存水や携帯トイレの期限・使用回数は製品ごとに異なるため、購入前に各製品の表示をご確認ください。

